この暑さだからコメの育成には問題なしだろうけれどって思ったら、水不足
今年の夏は本当に暑い。連日35度を超える猛暑日が続き、「これだけ暑ければ稲もぐんぐん成長するだろう」と思っていた。確かに稲は暖かい気候を好む作物だし、この暑さなら育成には申し分ないはずだった。
暑さは稲作の味方のはず
稲作にとって夏の暑さは基本的にプラス要因だ。特に出穂期から登熟期にかけては、十分な気温が粒の充実に欠かせない。新潟のコシヒカリも、この時期の暑さによって美味しさが決まると言われている。
気温が高いということは:
- 光合成が活発になる
- 茎葉の成長が促される
- 穂の発育が順調に進む
- 登熟が早まり収量が期待できる
だから最初は「今年は豊作間違いなし」と思っていた。
しかし、現実は甘くなかった
ところが、問題は別のところにあった。水不足だ。
この猛暑により、田んぼの水の蒸発量が異常に多い。通常なら週に2〜3回の水入れで十分なのに、今年は毎日のように水位をチェックしなければならない状況だ。
さらに深刻なのは、用水路の水量そのものが減っていることだ。山間部の雪解け水に頼っている地域では、早期の雪解けと少雨の影響で、例年より明らかに水量が少ない。
水不足が稲作に与える影響
水不足は稲作にとって致命的だ:
根の発育への影響 土壌が乾燥すると、稲の根が十分に水分を吸収できなくなる。これにより根の発育が阻害され、養分の吸収効率も低下する。
高温障害のリスク増大 水があることで田んぼの温度は調節される。水不足により土壌温度が上がりすぎると、根が損傷を受けたり、穂の発育に悪影響を与えたりする。
登熟への深刻な影響 出穂後の水不足は特に深刻だ。粒の充実に必要な水分が不足すると、収量や品質の大幅な低下につながる。
今後の対策
この状況を受けて、以下の対策を検討している:
節水灌漑の実践 常時湛水ではなく、間断灌漑を取り入れて水の使用量を抑える。田んぼを一時的に乾かすことで、根の活性化も期待できる。
水源の多様化 用水路だけでなく、井戸水や雨水の活用も検討する必要がある。
品種の見直し 来年以降は、乾燥に強い品種への転換も視野に入れる必要があるかもしれない。
気候変動時代の稲作
今回のことで改めて感じたのは、従来の「暑い夏=豊作」という単純な図式が通用しなくなっているということだ。気候変動により、極端な暑さと水不足が同時に発生するケースが増えている。
稲作農家として、この新しい現実に適応していく必要がある。先人たちが築き上げてきた稲作技術を大切にしながらも、変化する気候に対応した新しい栽培方法を模索していかなければならない。
今年の夏は、稲作にとって大きな試練の年となりそうだ。しかし、この経験を通じて、より持続可能で気候変動に適応した稲作のあり方を見つけていきたいと思う。
この記事は2025年8月の実体験を基に書かれています。地域や条件により状況は異なりますので、具体的な対策については地元の農業指導機関にご相談ください。
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