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2026年2月11日水曜日

コロナウイルスと精神病の関係

 


新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは、私たちの社会構造だけでなく、「脳と心」のあり方にも劇的な変化をもたらしました。2020年以降、精神科の受診者数やメンタルヘルスの不調を訴える人が急増した背景には、単なる「不安」だけではない、生物学的・心理学的・社会的な三重の要因が絡み合っています。


本記事では、コロナと精神疾患の密接な関係について、最新の研究データを交えて解説します。


1. 生物学的要因:ウイルスが直接「脳」に与える影響

最新の研究では、新型コロナウイルスが直接的、あるいは間接的に脳に影響を及ぼし、精神症状を引き起こすメカニズムが解明されつつあります。


脳の慢性炎症: ウイルス感染によって全身で「サイトカインストーム(免疫の暴走)」が起きると、脳内でも炎症が発生します。これが、うつ症状、不安、そして強い倦怠感の原因となると考えられています。


血液脳関門(BBB)の破壊: 通常、脳を有害物質から守っている「血液脳関門」がウイルスや炎症によって脆くなり、炎症物質が脳内に侵入しやすくなります。これが「ブレインフォグ(脳の霧)」と呼ばれる集中力低下や記憶障害の引き金となります。


微小血栓と血流不全: 血管内皮がダメージを受け、脳内の微細な血管に血栓(血の塊)ができることで、酸素供給が滞り、神経細胞の機能が低下するケースも報告されています。


統計トピック: 日本のレセプトデータ(診療報酬明細書)を用いた調査によると、新型コロナに感染した人は、未感染者と比較して抗うつ薬の処方率が約1.5倍に上昇しているという結果も出ています。


2. 心理学的要因:環境変化による「心の過緊張」

感染そのものよりも、パンデミックに伴う「生活様式の激変」が心理的なストレスを増幅させました。


扁桃体の過活動: 外出自粛や対面コミュニケーションの減少により、脳の「扁桃体(不安や恐怖を司る部位)」が過敏な状態になります。人間は社会的動物であるため、交流の断絶は脳にとって「生存の危機」と認識され、うつや不安を誘発します。


「感染への恐怖」の蓄積: 2024年以降の研究でも、初期に抱いた「感染への強い恐怖」が、その後数年間にわたる心理的苦痛を予測する因子であることが示されています。


3. 社会的要因:格差と孤立の顕在化

コロナ禍は、社会の「弱い部分」を浮き彫りにしました。


経済的困窮の影響: 低所得世帯や非正規雇用者において、心理的苦痛(SPD:深刻な心理的苦慮)を抱える割合が有意に高いことがわかっています。経済的不安は、精神疾患の最も強力なトリガーの一つです。


若年層と女性への集中: 学校行事の中止、育児負担の増大、非正規雇用のカットなどにより、特に10代〜30代の若者や女性の自殺者数・うつ病発症率が顕著に増加しました。


4. まとめ:コロナ後の「心のケア」に必要なこと

グラフで見られた2020年以降の患者数急増は、「ウイルスによる生物学的なダメージ」と「社会的な断絶」のダブルパンチの結果と言えます。


影響の種類 具体的な症状・現象

身体(後遺症) ブレインフォグ、不眠、倦怠感、POTS(起立性頻脈)

心理(ストレス) 不安障害、パニック障害、うつ病、PTSD

社会(環境) 孤独感、経済的不安、人間関係の希薄化

これからの時代、精神的な不調は「コロナの後遺症の一つ」として、よりオープンに語られ、適切な医療介入を受けることが当たり前の社会にしていく必要があります。

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